のどか姉さんと純の幼少期の頃のお話です。

のどか姉さんが、ナースを志すきっかけ……
そして、純がのどか姉さんに、まだ恋と呼ぶには淡すぎる想いをのどか姉さんに抱くまでを描きます。

文字ばかりですみませんが(汗)
こちらを読んでいただけると、本編もより楽しめるかもしれません。

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 俺は、のどか姉さんが大嫌い……だった。

――小さかった頃
まだ好きとか嫌いとかもなくて、普通にずっと一緒に遊んでいて……


大きくなるにつれ、女の子と一緒にいると同級生からからかわれるようになって、

からかわれるのがイヤで別々に登校しようとしても、遊ばないようにしても、のどか姉さんは全然気にした感じもなく、

「だって、純ちゃんのお姉さんなんだから。気にしないでいいの」

 と、“りくつ”にも何もなってないことを言って、俺にあれこれお節介を焼くんだ。


「純ちゃん、ハンカチ持った?」
「うん」
「ティッシュ持った?」
「うん」
「教科書、忘れてない?」
「忘れてないって」



 これ、お母さんに言われてるんじゃない。
のどか姉さんが言ってる。
それも毎朝毎朝、俺の家に迎えに来ては、まるでお母さん……
いや、もっと口うるさく、学校に行く前にあれこれチェックするのだ。

なんだよ、ちょっと年上だからってえらそうに。


俺、自慢じゃないが、もう走るのはのどか姉さんより速い。

……まだ背丈は、のどか姉さんのほうが、ちょっぴり高いけど。
そ、そのうち、絶対俺の方が高くなる。だって男だから。


「うんうん。全部オッケーみたいね。それじゃ一緒に行こう?」
「もういいから、俺、一人で学校に行く!」
「ダメよ。一人で行って迷子になったら大変でしょや」


 ……もう迷子になるような子供じゃないって。
朝からお節介を焼かれ、子供扱いされ、とっても腹が立ったので、俺はのどか姉さんを残して、一人で通学路を走り出した。


たったったっ!


「わわわ! ま、待ってよー! 純ちゃ〜〜ん!」

「あっかんべー。待たないよー」


 のどか姉さんが、一生懸命追いかけてくるのを時々振り返りながら走る。
はっきり言って“てかげん”してる。

たったったっ! たったったっ!

でも、追いつかない。
ほらね。俺のほうが走るの速い。

「純ちゃん……はっ……はっ……待ってよおお」

 のどか姉さんの走る姿……本当にドタバタって感じだ。

だって、俺と比べてお尻なんか丸く大きいし、あれじゃ重しを腰に付けて走ってるのも同じだな。

それに、胸にも大きな膨らみが2つもあるし、とても重そうだ。

……でも、なぜだか分からないが、胸が揺れてるのを見ると、オチ○チンがムズムズするような感じになって、すごく恥ずかしいような感じになって……
追いかけてくるのどか姉さんから目を逸らし、前を向いた瞬間――


べちゃ!


「痛! ……ひいいん……こけちゃった……えぐっ……えぐっ……ふぇぇぇ……」

 ……こけちゃったって自分で言わなくても、誰がどう見てもこけたのである。

「びえっ……えぐっ……えぐっ……」

「…………」

「うぇぇぇん。ええぇぇん。えぐっ……えぐっ……」


 あーあ……。まったく女の子って、すぐ泣くなぁ……。

 …………。

 でも、膝すりむいて痛そうだな。
俺でも泣いちゃうかもな。

でもでも、かけっこが遅いのどか姉さんが悪いんだ。

でもでもでも、意地悪して走り出したのは俺。
……俺も悪い。

…………。

「ちぇ……」

 仕方なくのどか姉さんが転んだところまでUターン。


「……大丈夫……かよ」

「じゅ、純ちゃん……。えぐえぐっ……ぐすっ……えへ、うん、全然大丈夫だよ!」


 泣いた何とかがもう笑った。
俺の顔を見ると、泣き顔がみるみる笑顔に変わった。
嘘泣きだったんじゃないか? って思うくらい。

でも、本当に涙が出ていたので、嘘泣きじゃなかったみたいだ。

「血……出てるなぁ」

「うん、でも、これくらい平気だよ。こんなこともあるかもって……ほら!」


 ほら! とのどか姉さんが、カバンの中から、まるで国民的アニメの猫ロボットのポケットから出るアイテムのように取り出したのは、
犬のような牛のようなキャラクターが邪悪なスマイルを向けたシールがたくさんプリントされた箱だった。

「……なに、それ?」

「あ、これ? 『うっしっし君』だよ。
最近のどか姉さんのお気に入りなの」


 どうも、あの邪悪なキャラは『うっしっし君』と呼ばれてるらしい。

「今度、純ちゃんにも買ってあげるね。『うっしっし君』のシールとか筆箱とか……他にも色々あるよー」

「全力でお断りします……」

「あ……そっか。男の子だから恥ずかしいよね。こういう可愛いのは」

…………本気で可愛いと思ってるみたいだ。
この際、のどか姉さんの趣味の悪さはおいといて、気になったのは、その箱の中身。

「これはねー。救急箱なんだよ」

「ふ、ふーん……」

「さ〜て、消毒して〜しゅっしゅっと♪」

 箱の中から携帯タイプの消毒液を取りだし、慣れた手つきで傷口に振りかけ、

「ばんそうこう〜。ばんそうこう〜。これもうっしっし君〜」

 貼ると呪われそうな顔をしたファンシーなキャラクターの絆創膏を傷口に貼ると、

「うん! これでもう痛くないよ。のどか姉さん、復活〜!」

 のどか姉さんは、元気にピョコンと立ち上がり満面の笑みを俺に向ける。

「えへー。ありがとうね。戻ってきてくれて」

「な、なんもだ。それより、なんで救急箱持ち歩いてるの?」

「あ……うん。最近、何もないところでもよく転ぶから、ずっと持ち歩いてるの」

「そっか……」

「うん、そう。えへへ」


 のどか姉さんは前屈みになり、地面に落ちた自分のカバンを拾った。


誓って本当に何の気無しにそこに目をやったんだ。


屈んで広がったシャツの襟の隙間からのぞく……
のどか姉さんの裸のおっぱいが見えた。

(ごくっ……)

見ちゃダメだって思っても目が離せない。

俺の胸と全然違う……。
真っ白で柔らかそうで……プルンプルンしてる。

走ると揺れるし重そうだしとっても邪魔そうだ。
そうだ、邪魔なものなんだ。

なのに、なんで見てるだけで、また、俺のオチ○チンがムズムズするような感じになるんだろう。

俺、病気になったんだろうか?


「ん? どうしたん? 純ちゃん、赤い顔して?」

「な、なんでもないよ!」

「熱なんかなかったらいいんだけど……」


 のどか姉さんは、さっき自分が怪我したばかりなのに、俺のことを心配そうに見て、おでこを俺のおでこにくっつける。

 今までも何回も何回もそうしてもらったのに、今日に限ってすごく照れくさいような恥ずかしさを通り越した編な感じになって、
 いや、俺の病気を当てられるのが恐くなって、

「ほ、ホントに大丈夫だって……」

 のどか姉さんを押し返す。
そのときに、胸に俺の手が当たってしまって、また変な気持ちになった。

すごく……柔らかかった……マシュマロみたい……いや、もっとかな……。

じゃ、じゃないだろ、俺! 何考えてるんだ……。

「う、うん……。熱はなかったみたいだから大丈夫みたいだね。よかったぁ〜」

 まともにのどか姉さんの顔を見られない。
 顔を見られないからのどか姉さんの足を見る。
 うっしっし君の絆創膏を貼った足。
 そのなんともいえないうっしっし君の邪悪な笑顔が、俺のエッチな想像を見透かしてるようで、無性に腹が立った。

「さ、急がないと遅刻するね? そろそろ行こうか?」

 のどか姉さん、俺の手を取る。

「ちょっ……手を握るなよぉ……」

のどか姉さんの手は、すごく暖かくてふわっと柔らかくて、さっき触ったおっぱいの感触なんかも思い出してしまって、
どきどきざわざわ今まで経験したことのない気持ちになって、どうすればいいのか分からなくなってしまう。

「いいじゃないさぁ。手を繋いでたら、もうこけないと思うし……」

 し、しゃぁないなぁ……。
またこけて、泣かれるとイヤだからな。

「でも、学校の近くに来たら手をはずしてよ?」

 
俺がそう言うと、

「うんうん。分かってる〜」


 本当に分かってくれてるのか分からない。俺と手を繋いで嬉しそうなのどか姉さんを見てると。

 だけど、ちゃんとのどか姉さんは約束を守ってくれて、学校が近づくと手を離してくれた。
 離されたその手が、甘くジンジンと痺れて、また変な気持ちになったりした。


 ………………。


 通学途中、のどか姉さんと手を繋いでたの、見てたヤツがいた。
 学校じゃ同級生に女の子と手を繋いで登校したことを散々からかわれて、ケンカして先生に怒られた。

 まったく、女の子って泣き虫で弱くて、
おまけに、のどか姉さんはお節介でお母さんより口うるさくて、

おまけにおまけに、俺を変な気持ちにさせる。



……そんな、のどか姉さんが、俺は大嫌い……だった。


続く